「AI生成です」と書く側から見た、見分け方と作法

このコラムのアイキャッチ画像は、AIで作っている。毎回、末尾に「アイキャッチ画像はAI生成です」と書いているのは、そのためだ。最初にこの一文を入れると決めたとき、社内で少しだけ議論になった。書かなくても分からないのではないか、書くと安っぽく見えないか。それでも書くことにした。理由は単純で、分かるか分からないかではなく、見る人に知らせるかどうかが、作る側の姿勢だと思ったからだ。

だから私は、AI生成画像について、見抜く側と作る側の両方の席に座っている。今日はその両方の席から、AI画像の「らしさ」はどこに出るのか、そして開示をどう書けばいいのかを、作法として整理したい。

目次

らしさは、得意なところではなく、苦手なところに出る

AI画像を見分けるコツは、上手いところではなく、苦手なところを見ることだ。AIは、光と質感と構図が異様に上手い。だから全体の印象で見抜くのは難しい。ほころびは、細部にある。まず、手だ。指の数、関節の曲がり方、物を握る角度。人間の目は手の形に敏感で、少しの狂いを違和感として拾う。次に、文字だ。看板、本の背表紙、画面の中の文字列。文字の形をしているのに読めない、あるいは途中で別の文字に崩れる。そして、左右の対称。眼鏡の両側、建物の窓の並び、ピアスの左右。人間の作り手なら揃えるところが、微妙に揃わない。

もう一つ、質感の均一さがある。実写なら、肌にも布にも、場所によって荒れや汚れがある。AI画像は、全体が同じ滑らかさで仕上がりやすい。美しすぎて、どこにも疲れがない。見慣れてくると、この「疲れのなさ」が、逆に目につくようになる。ただし、この手の見分け方には寿命がある。苦手は毎月のように克服されていく。手の指は、もうほとんど間違えない。見抜く技術に頼る時代は、長くは続かない。

だから、見抜かれる前に、書く

見抜く側の技術に寿命があるなら、作る側の作法のほうが長持ちする。それが、開示だ。AIで作ったと、作った側が先に書く。このコラムのアイキャッチに一文を添えているのは、その実践だ。見る人が見抜くかどうかに、作り手の誠実さを委ねない。

書き方には、いくつか作法がある。まず、場所だ。画像のそばか、記事の末尾か。このコラムは末尾に置いている。本文の邪魔をせず、しかし探せば必ず見つかる場所だ。次に、言葉だ。「AI生成」と短く書く。長い言い訳や、技術の説明は要らない。事実を一文で伝えれば足りる。そして、一貫性だ。毎回書く。書いたり書かなかったりすると、書いていない回は人が描いたのか、と誤解を生む。ルールとして決めて、例外を作らない。

開示は、守りではなく信頼の投資だ

社内で議論になった「安っぽく見えないか」について、いまの私の答えはこうだ。安っぽく見えるのは、AIを使ったことではなく、使ったことを隠そうとする態度のほうだ。隠して見抜かれたとき、失うのは画像の評価ではなく、書き手の信用だ。逆に、最初から書いておけば、読者は「この書き手は隠さない」と学習する。その学習は、画像ではなく、本文の信頼に返ってくる。開示は、法律に言われてやる守りではなく、信頼への小さな投資だ。

私はAIで画像を作ることに賛成で、これからも使う。イラストを描く人の技術を軽んじているわけではない。むしろ、人が描いた絵には「人が描いた」という価値があり、その価値を守るためにも、AIで作ったものには「AIで作った」と書くべきだと思っている。表示があるから、人が描いたものの値打ちが、相対的に際立つ。開示は、AIのためではなく、人の作り手のための作法でもある。

開示しないことの代償も、具体的に考えておいたほうがいい。取引先から「この画像は御社で描いたのか」と問われたとき、書いていなければ、その場で説明することになる。説明は弁明に聞こえる。公開した画像に生成特有のほころびが見つかり、指摘が広がれば、画像そのものより「隠していた」という印象が残る。一行書いておけば、どちらも起きない。そして、この一行は、社内の規程とも接続する。AIで作ったものを外に出すときにどう伝えるか、という手順を規程に持っている会社は、アイキャッチの一行を、その手順の最も小さな実践として扱える。

見分け方に寿命があることを知っているからこそ、私は見分け方の記事を書きながら、見分けられなくなる日のことを考えている。その日が来ても困らないのは、最初から書いてきた人だけだ。見抜く力の競争から降りて、書く作法の側に立つ。それが、作る側に座った人間の、いちばん長持ちする選択だと思う。

見分け方は古びる。作法は残る

指の数や読めない文字で見抜く技術は、来年にはもう役に立たなくなる。だが「作った側が先に書く」という作法は、技術がどれだけ進んでも古びない。見る側が見抜けなくなる時代ほど、作る側の一文の重みは増す。

自社でAI画像を使うなら、見抜かれないことを目指すのではなく、見抜かれる前に書くことを決めてほしい。場所を決め、言葉を決め、例外を作らない。このコラムの末尾の一文は、その決め事の、小さな実物だ。

アイキャッチ画像はAI生成です。

次の成長に向けて、いま整えるべきことを。

AI、EC、マーケティング、採用、数値管理。
構想だけで終わらせず、実行できる体制へ。

まずは課題を整理してみるところから、スポルアップが実務目線で伴走します。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

法務・財務・内部統制・情報セキュリティの実務を経て、AI時代の企業支援へ。バックオフィスの現場で見てきたことを、そのまま書いています。

目次